人の行動をチェックする人の心理とは?職場の「監視する人」の対処法
仕事をしていると「なぜ、この人は私の行動をいちいちチェックしてくるんだろう」と感じるシーンがありませんか。
人の行動をチェックしたがる人の心理は、単なる好奇心から深刻な支配欲求まで多岐にわたります。
この記事では、人の行動をチェックする人の心理と、職場でそのような人に遭遇した際の対処法を解説。
職場の人間関係で悩んでいる方は、相手の心理を理解しつつ対応し、働きやすい環境を取り戻しましょう。
人の行動をチェックする人の心理|職場でよくあるケース
職場で人の行動をチェックしたがる人には、いくつかの典型的な心理パターンがあります。
- 単に人の行動に興味がある
- 「嫌われたくない」気持ちから行動を把握しようとしている
- 対象をコントロールしたい欲求がある
- 弱み・弱点を見つけたい(粗探しをしたい)気持ちがある
- 暇を持て余して人間観察している
- あなたに好意がある
まずは、なぜ相手がそのような行動を取るのか、心理的背景を理解していきましょう。
単に人の行動に興味がある
もっとも単純なケースが、純粋に他人の行動に興味を持っているパターンです。
このタイプの人は悪意があるわけではなく、人間観察が好きで自然と周囲の動向に目が向いてしまいます。
新しい職場や部署ではとくに、「この人はどんな人なんだろう」という好奇心から行動をチェックしがちです。
心理学的にも、人の行動が気になってしまう人は「対人好奇心が強いタイプ」の可能性が高いとされています。
参考:京都大学・関西大学「心理学研究2022年第93巻第5号 pp.436-446(対人的好奇心尺度の開発)」
ただし、本人に悪気がなくても、監視されている側は不快感やストレスを感じてしまうでしょう。
このタイプの人は指摘されれば行動を改める可能性が高いため、コミュニケーションを取ることで解決できるケースが多いです。
「嫌われたくない」気持ちから行動を把握しようとしている
社会不安が強い人の中には、「嫌われたくない」という気持ちから相手の行動を細かく観察する人がいます。
このタイプの人は、社会不安障害(SAD)的な傾向を持っており、周囲から拒絶されることを極度に恐れているのです。
参考:社会不安障害における自尊心、依存性、自己効力感、自己批判(英語論文)
そのため、相手の機嫌や感情を察知しようと、行動や表情を注意深く観察してしまいます。
このような心理から人の行動をチェックする人は、実は本人も不安やストレスを抱えているわけです。
対象をコントロールしたい欲求がある
悪意のあるケースのひとつが、相手を支配・コントロールしたいという欲求から監視行為をするパターンです。
このタイプの人は、いわゆる「マキャベリズム」的な傾向が強く、他人を操作することで自分の利益を得ようとします。
マキャベリズム的な人の特徴は以下のとおりです。
- 他人を利用することに抵抗がない
- 目的のためなら手段を選ばない
- 相手の弱みを握りたがる
SNSツール「Facebook」上での行動を調査した論文では、マキャベリズムの特性を持つ人が監視により自分に有利な情報を増やす可能性が高いと仮説が立てられています。
参考:キール大学心理学部「ダークトライアドとFacebookによる監視」
職場においては、部下や同僚の行動を把握することで優位に立とうとするわけです。
このような心理から監視を行う人は、単なる興味や不安とは異なり、明確な悪意を持っています。
関連記事:上司の嫌がらせへの対処法とは?よくある事例や考えられる原因も紹介
弱み・弱点を見つけたい(粗探しをしたい)気持ちがある
自分に自信がない人の中には、他人の弱点を見つけることで相対的に自分を優位に感じようとする人がいます。
このタイプの人は、以下のような心理状態にあります。
- 自己肯定感が低い
- 他人と比較することで安心感を得たい
- 失敗やミスを見つけて優越感に浸りたい
職場では、同僚の仕事ぶりを監視して「あの人はこんなミスをしている」「自分の方が優秀だ」と感じることで、自尊心を保とうとするわけです。
また、集めた情報を上司に報告して、自分の立場を有利にしようとする場合もあります。
被害を受けた側はストレスを感じ、業務効率の低下にもつながってしまうでしょう。
暇を持て余して人間観察している
業務に余裕がある人や、やることがない人が、時間つぶしとして人間観察をしているケースもあります。
とくに深い意図があるわけではなく、単純に暇だから周囲の人の行動を見ているのです。
しかし、見られている側からすると不快感を覚え、「なぜ監視されているのか」と不安になってしまうでしょう。
このケースは比較的対処しやすく、業務を配分したり、ときどき声かけをしたりすることでで改善される可能性が高いです。
あなたに好意がある
島根県立大学短期大学部出雲キャンパスの研究によれば、恋愛感情によって視線行動が変わるとされています。
簡単に言えば「あなたに恋愛感情や好意があるほど、より多くの視線を向けるようになる」のです。
参考:島根県立大学短期大学部出雲キャンパス「恋愛感情が視線行動に及ぼす影響」
やたらと行動をチェックされていると感じたら、それは相手があなたに好意を持っていて、趣味や好きなものなどを見つけるためかもしれません。
ただし、あまりに過度な行動監視は、尾行やつきまといのような「ストーカー行為」につながる可能性があります。
もし本格的なストーカー行為に発展した場合は、迷わず上司や社内の相談窓口、もしくは警察などに相談しましょう。
人の行動を監視する行為は自然解決するケースもあれば、エスカレートするケースもあるため、注意が必要です。
職場にいる「人の行動を監視する人」への対処法
職場に人の行動を監視する人がいて困っている場合、いくつかの対処法を試してみることをおすすめします。
相手の心理や監視の程度に応じて、最適な対応方法を選択しましょう。
可能であれば距離を取る
もっとも簡単な対処法は、監視してくる人との物理的・心理的距離を取ることです。
たとえば職場がフリーアドレスで座る位置を変更できる場合は、相手の視界に入りにくい場所に移動しましょう。
また、休憩時間や昼食時間をずらし、接触機会を減らすのもおすすめです。
必要最小限のコミュニケーションに留めることで、監視される機会を減らせます。
ただし、業務上のやり取りが必要な場合は、完全に距離を取るのは難しいでしょう。
注意点として、露骨に避けていることが相手に伝わらないようにしてください。
あからさまに避けると、かえって関係が悪化する可能性があるため、あくまで「自然体で」距離を取ってみましょう。
直接コミュニケーションを取ってみる
相手に悪意がない可能性が高いなら、直接的なコミュニケーションで解決を図るのがおすすめです。
「何か気になることがあれば、直接聞いてもらえると助かります」といった形で、やんわりと伝えてみましょう。
コミュニケーションを取る際のポイントは以下のとおりです。
- 攻撃的にならず、穏やかな口調で話す
- 具体的な改善案を提示する
- 一対一の環境で話し合う
ただし、相手が支配欲求や悪意を持っている場合は、この方法が逆効果になることもあります。
相手が上司など上の役職の場合も、直接コミュニケーションを取って解決を試みるのはおすすめしません。
「間違いなく、この人には悪意がない」と確信できる場合に試してみてください。
上司や社内の相談窓口に相談する
個人での対処が難しそうなら、上司や人事部、社内の相談窓口に相談しましょう。
監視行為が業務に支障をきたしている、ストレスで体調不良を起こしているなど、具体的な被害を説明すれば対応してもらえる可能性があります。
相談する際は、以下の情報を整理しておくのがおすすめです。
- いつ、どこで、どのような監視を受けたか
- 監視により、どんな影響が出ているのか
- どのような改善をしてほしいのか
場合によっては、不自然でない形での部署異動や座席変更を提案してくれるかもしれません。
必ずしも解決するとは限りませんが、相談する価値はあるでしょう。
悪質なケースは専門家に相談する
以下のような「悪質な監視」を受けている場合は、自分だけで対処すべきではありません。
- GPSによる位置情報の監視
- パソコンやスマートフォンのハッキング
- 職場外でのストーカー行為 など
このような行為は犯罪に該当する可能性が高く、専門家による適切な対応が必要です。
証拠のある・なしに応じて適した相談先が変わるので、以下で詳しく解説します。
証拠があるなら「警察」や「弁護士」に相談しよう
以下のような「悪質な監視行為の明確な証拠」がある場合は、警察や弁護士に相談するのがおすすめです。
- 監視行為を記録した写真や動画
- メールやメッセージの履歴
- GPSや盗聴器などの物的証拠
- 目撃者の証言
悪質な監視行為は「ストーカー規制法違反」「プライバシーの侵害」など、さまざまな法的問題に該当するかもしれません。
平成7年には、職場内外での監視行為が「プライバシーの侵害・人格的利益を侵害する不法行為」として認められ、損害賠償が求められた判例もあります。
参考:裁判所|裁判例結果詳細
専門家に相談することで、状況に合った法的措置で解決できる可能性が高いでしょう。
証拠がないなら「探偵」に依頼しよう
監視されている実感はあるものの確かな証拠がない場合は、探偵に依頼するのがおすすめです。
探偵は専門的な技術とノウハウを持ち、合法的な方法で証拠収集を行うことができます。
また、依頼者のプライバシーを守りながら調査を進めるため、相手に気づかれることなく実態を把握することが可能です。
ただし、探偵への相談や依頼には費用がかかります。
被害が深刻で、ある程度お金をかけてでも解決したいなら、探偵に相談してみてください。
探偵に相談を迷っているなら下記の記事を参考にして判断してみてください。
監視行為の証明に第三者調査が必要な理由
毎日執拗な視線を感じながら、どこに相談すればいいか分からない。
そんな状況に置かれている方にこそ、知っていただきたい解決方法があります。
監視や行動チェックといった被害は、「気のせい」と言われがちですが、専門的な調査により客観的に証明することが可能です。
調査では、監視者の行動を時系列で記録し、通常の範囲を逸脱した異常なパターンを可視化します。
偶然を装った接触の頻度が統計的に異常であることや、不自然なタイミングでの出没などをデータとして示せます。
職場でのハラスメントの場合、こうしたデータは、会社への申し立てや労働審判において強力な証拠となります。
とはいえ、監視行為の調査はデリケートな問題を扱うため、経験と実績のある調査機関を選ぶことが重要です。
調査方法を誤ると、加害者を刺激したり、職場での立場を悪化させるリスクもあります。
安全で確実な調査を実現するための選定基準については、下記の記事をご参照ください。
人の行動をチェックする人の心理に関するよくある質問
人の行動をチェックする人の心理に関するよくある質問と、その回答をまとめました。
人の行動をなんでも把握したがる人・監視する人は病気の可能性あり?
人の行動を異常に監視したがる人は、以下のような病気や障害を抱えている場合があります。
- 社会不安障害:対人関係に過度な不安や恐怖を感じる
- 強迫性障害:不快な思考が頭に浮かび、それを打ち消す行動を繰り返してしまう
- 妄想性障害:「誰かに監視されている」など複数の妄想が長期間続く
- 自己愛性パーソナリティ障害:注目や共感を求めるが、否定されると過剰に傷つく
- 反社会性パーソナリティ障害:自分や相手がどうなるかを考えず、やりたいように行動してしまう
ただし、監視行為があるからといって必ず病気であるとは限りません。
あなたを精神的に追い詰めるのが目的で監視を繰り返している可能性もあります。
相手の行動チェックが病気によるものなのか、悪意を持ったものなのかはっきりさせたいなら、探偵による調査がおすすめです。
職場で人の行動を監視する「男性」の心理は?
職場で人の行動を監視する男性には、以下のような心理パターンがあります。
- 競争意識が強い:同僚や部下のスキルを測るために行動を観察している
- 権力欲求が強い:昇進のためのネタ探しとして監視をしている
- 恋愛感情や性的関心がある:特定の女性に興味があって行動をチェックしている
もしもあなたが女性で、明らかに自分だけが行動を監視されているなら、ストーカーに発展するリスクも疑ったほうが良いでしょう。
また、男性の監視行為はしばしば「指導」や「管理」という名目で正当化されることがありますが、度を超えた監視は明らかに問題です。
自分で解決できないなら、上司や社内の相談窓口に相談しましょう。
悪質な監視行動が見られるなら、証拠集めのために探偵に相談するのも一つの手です。
人の行動をチェックする人の心理まとめ
人の行動をチェックする人の心理パターンは、主に以下の6つです。
- 単純な興味・好奇心
- 嫌われたくない不安感
- 支配・コントロール欲求
- 粗探しによる優越感の獲得
- 暇つぶしの人間観察
- あなたへの好意・恋愛感情
ここまで読んで、「私のケースは調査が必要なレベルなのだろうか」と疑問に思われた方もいるかもしれません。
監視行為の深刻度は、頻度や内容によって大きく異なります。
あなたが受けている行為が、法的措置が必要なレベルなのか、それとも別のアプローチが適切なのか。
短時間の診断で、現状を客観的に把握し、最適な解決方法を見つけることができます。
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